昨今、話題になっている投資システムに、「ソーシャルレンディング」があります。ソーシャルレンディングというのは、「融資を受けたい企業」と「保有資金を融資における貸付金として運用したい利用者」をマッチングさせるサービスのことです。

融資先から支払われる返済金の中に含まれる利息が、利用者にとって利益になります。ソーシャルレンディングは株式やFXなどへの投資とは違い、自分で資金を運用するわけではないため、知識が要らず、手間もかかりません。

なお、ソーシャルレンディングは企業などへの融資である以上、貸倒れのリスクがあるため、融資先から担保として不動産を取ることが少なくありません。実は、不動産を担保に取る場合、返済不能時における融資先の責任範囲によって、「ノンリコースローン」と「リコースローン」の2つの種類があります。

ノンリコースローンとリコースローンの違い

ノンリコースローンの「ノン」は日本語で「非」、「リコース」は「遡及」と訳されます。
金融業界では、ノンリコースローンを「限定特約付貸付融資」または「非遡及型融資」と呼んでいます。つまり、融資先における責任の範囲が限定されているローンということです。

例えば、某企業が5,000万円の融資を受けるため、金融業者に対して所有不動産を担保に提供したとします。
融資後、某企業は1,000万円を返済した時点で、返済不能に陥りました。
そこで、金融業者は担保の不動産を売却し、貸付金の回収に充てることにしました。
その際、担保不動産の価値が3,000万円だったとすると、全額を返済に充てたとしても、1,000万円の残債が生じます。

この場合、通常のローンなら、某企業は1,000万円の残債に対して返済義務を負います。しかしながら、ノンリコースローンでは、提供した担保を放棄することで責任が満たされます。つまり、残債に対する返済の義務が無いため、金融業者から差押えを受けることもありません。一方、リコースローンでは、担保の換金だけで残債を完済できない場合は、何らかの形で残債の返済を続けなければなりません。

リコースローンの場合、融資する側は借入者の返済能力を入念に調べる必要があります。ノンリコースローンでは責任範囲が担保のみに限定されるため、借入者の返済能力はあまり問われません。

ソーシャルレンディングにおける利用状況

アメリカではノンリコースローンが一般的であり、リーマンショックの時に話題になったサブプライムローンもノンリコースローンでした。

日本の住宅ローンは全てがリコースローンになっています。なお、ソーシャルレンディングにおいては、ノンリコースローンとリコースローンが併用されているという実態があります。

仮に、ソーシャルレンディングのファンドがノンリコースローンであった場合は回収リスクが大きいため、出資する利用者は担保の不動産に対する評価を厳しくチェックすることが必要です。
また、融資期間(リスク期間)の短いファンドを選択するようにします。